"The Invisible Heart: An Economic Romance"の読書感想
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高校教師SamとLauraの恋愛模様を,二人の異なる考え方を対立させつつ描いている.Samは経済学修士号を持つ新古典派信奉者で,市場に全部任せるのが良いのだ,政府の介入は無いほうがよいのだ,というスタンスを貫いている.Lauraは文学の教師で,弱い立場の人を法律で守るべきだと考えている.
数日前に書いた『シートベルトを義務化する法律』というエントリーは,実はこの本のpp.20あたりをベースに書いた.この本では,このようなやりとりがSamとLauraの間で延々と繰り返される.
LauraはSamのような考え方に初めて触れたらしく,最初は「あなたは冷たい人間だ,困ってる人は助けるべきだ」と反発するのだが,Samは頑としてLauraの反論に対して理論的に言い返し,「慈善の気持ちではなく,Self-Interest(利己心)があるからこそ経済は発展し,良い状態が実現するんだ」と主張し続ける.他方,Lauraは理屈でものを言うというより,感情や思いやりの気持ちから自分の意見を述べる.
本を通してSamの主張が理屈を伴って繰り返され,LauraはだんだんSamの考えを理解していく.したがって,本書はLauraタイプの人間(つまり,経済学をまったく知らない人間)に対する,経済学の啓蒙書となっている.恋愛小説の形式にしているあたり,本書のターゲットがそういう人であるという著者の意図は丸分かり.
邦訳版もある(『インビジブルハート―恋におちた経済学者』).かなりオススメ.読みやすいし,ベストセラーになってもおかしくないと思う.
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